2024年3月22日、小林製薬から出された「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」。
2024年3月29日時点での紅麹サプリ摂取後の入院者は延べ114人、通院者と通院希望者は計約680人に上り、健康被害の相談は累計で約1万5000件。
残念なことにサプリ摂取との関連が疑われる死亡者は5人目にまで増える状況となっております。
そんななか、厚生労働省は同日、紅麹サプリから青カビ由来の化合物「プベルル酸(puberulic acid)」が検出されたと発表しました。
今回は「プベルル酸」がどのような物質であるのか、調べたことを皆さんと共有できればと思います。
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プベルル酸についてわかっている事
論文検索サイト「PubMED」で調べたところ、プベルル酸について初めて論文が書かれたのは1932年で、そこから現在まで6つの論文しか出されていないようです。
プベルル酸の構造式は以下の通りで、抗菌薬としても有用なヒノキチオールと似た構造をしています。
ヒノキチオールは分類的にはトロポノイドの仲間であり、プベルル酸も同様です。
トロポノイドとはは、非ベンゼノイド芳香族化合物の一種であり、特に7員環を持つ化合物を指します。この骨格を持った化合物はトロポロン類とも呼ばれます。
トロポロン(tropolone)は、2位にヒドロキシル基を有するトロポンの誘導体の一つである。
引用元:トロポロン – Wikipedia
~中略~
7員環構造だが、酸素原子に負電荷が偏るため環部分は6π電子系となり、芳香族性を持つ。
ヒノキチオールは良く聞く名前かと思います。
低毒性ながら、非常に幅広い抗菌活性が特徴で、さまざまな化粧品や医薬品に利用されており、特に、皮膚疾患の治療や口腔衛生製品においてその効果が認められています。
また、ヒノキチオールは空間の消臭や除菌にも有効であり、自然由来成分としての安全性も高いとされています。
一方、プベルル酸はアオカビの一種から得られた抗生物質のひとつです。
科学的研究の歴史の中で、プベルル酸はその抗菌特性、抗マラリア活性により注目されました。
しかし、この化合物の毒性に関する研究も行われており、特に細胞毒性が強く(プベルル酸そのものではなく、その代謝物?)、生物に対して有害な影響を与える危険性が示唆されております。
マウスへの皮下投与5 mg/kg 2回では5匹中4匹が3日目までに死亡。
ただ、人体への影響については不明。
ただ、もしタンク内に何らかの菌、例えばアオカビが混入して誤って増殖した場合、色に違いがでてくるので、それが原因とは言い難いと思われます。
プベルル酸の気になる腎臓への影響について
前述の通り、ブペルル酸に関する詳細なデータはまだわかっておりません。
そのため、腎臓への影響についてもわからない状況となっております。
ただ、ProTox-3.0という仮想ラボを使うことでブペルル酸の毒性予測ができるので、実際に行ってみました。
一応腎毒性(Nephrotoxicity)は陽性という結果。
ただ、信頼度が6割だと半々にちょっと上くらいの確率なので、こちらでもなんとも言えない評価な気がします。
構造式から予測すると、腎臓への影響があってもおかしくない、程度には考えても良いかもしれません。
そして全ての毒性試験を予測した結果はこちら。
文献でみられる細胞毒性が陰性予測なので、その点でもどうなのかなーという印象。
(ただ、細胞毒性については、プベルル酸自体ではなく代謝物が強いという文献もあった)
何気に呼吸器毒性も5割程度ですが陽性予測されていました。
まとめ:小林製薬の紅麹サプリ問題!検出されたプベルル酸の腎臓への影響は?
ようやくわかった「未知の成分」プベルル酸ですが、人体への影響についてはまだしばらく検証が必要なようです。
最後になりましたが、お亡くなりになったお客様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。
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